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2019年度
第16回 国際ウェーサクの日祝賀式典 及び国際仏教徒会議 ご報告
開催期間
2019年5月16日(5月12日~14日ベトナム)
会場
主催
参加数
2019年度 レポート
仏陀の生誕・成道・涅槃を祝する第16回「国連ウェーサクの日」祝賀式典が5月16日、タイの首都バンコクにある国連会議場で開かれた。1999年12月15日の国連決議から20周年となった今祝典には、世界80超の国・地域から2千人余が参加した。日本からは世界連邦日本仏教徒協議会(世連仏)やITRIの代表団が参加し、スピーチを行った。 第16回ウェーサク祝典は5月12日から14日にかけてベトナムのハナムで「仏教的アプローチ ― 持続可能な社会のための地球的リーダーシップと共有される責任」をテーマに開催された。その成果は宣言として採択された。 15日にはタイ・バンコクの国連会議場でマインドフルネス・フォーラムが催された。
午前9時、タイサンガ最高位にあるソムデット・プラ・アリヤヴァンサガタヤナ大僧正を迎えて開会式が行われた。主催者である「国連ウェーサクの日国際評議会」(ICDV)のプラ・ブラマプンディット議長(前MCUマハチュラロンコン仏教大学学長)は1999年12月ニューヨークの国連本部でウェーサクを祝う国連決議や2004年から主にタイでウェーサク式典を開催してきた歴史を大僧正に紹介。さらにベトナムでの会議、前日(15日)のマインドフルネス・フォーラムに関して報告を行った。 アリヤヴァンサガタヤナ大僧正は歓迎の言葉を述べ、仏教の持つ今日的意義を語った。 降壇して各国代表の一人ひとりと言葉を交わした。日本では世連仏の叡南会長とICDV副議長の松本正二(ITRI)が記念品を手渡した。 大僧正が会議場を辞してからプラ・ブラマプンディット議長及びタイ政府と国連代表が登壇してスピーチを行った。議長は「仏教を基盤とした組織として持続可能な開発(SDGs)、気候変動、平和構築、教育の4つがICDVの活動の指針である」と近年打ち出している取り組みを改めて明確にした。 国連のグテーレス事務総長はビデオメッセージで、「ウェーサクはブッダの生誕、成道、涅槃を祝福するものである、仏教徒及び日非仏教徒は一様にブッダの生き方と教えからインスピレーションを得ることができるだろう。不寛容と不平等の時代にあって、非暴力と利他を説くブッダのメッセージはこれまで以上に重要性を持っている」と述べた。 各国・各団体の仏教指導者のスピーチでは、2番目に世連仏を代表して叡南会長が登壇した。92歳の叡南氏は張りのある声で、ウェーサク祝典がプミポン前国王の遺志をワチラロナコーン国王が継承していることに敬意を表した。 そしてアジアにおける諸問題や自然環境の悪化を憂慮し、「自然を愛し、自然と共に生きると認識し、謙虚に受け止めることを教え諭された釈尊の精神の輝きが、これから先の世界をますます光あらしめるためにも、大仏教国であるタイ国におけるウェーサクの日祝賀式典並びに国際仏教徒会議が国王様のご加護の下に推進されることを心から祈念申し上げる」と期待した。 【国連ウェーサク】 【日本からの参加者】 ハナム宣言
2019年5月14日、ハナム、ベトナム
我々は、「仏教的アプローチ 持続可能な社会のための地球的リーダーシップと共有される責任」について議論した。
第1条 全体協定
国連の持続可能な開発目標(SDGs)をより深く理解し、完全に実施するために、我々は以下のことを決意する。
1.1 社会的、政治的、経済的、文化的危機の中で、持続可能な社会を提唱し、国内外で積極的な役割を果たす。 1.2 国際機関の参加を積極的に求める共に、「社会参加仏教」を活性化する。 1.3 ~1.5 (略) 1.6 現代における仏教のすばらしさを宣揚する。
第2条 共有される責任に対する仏教の対応
共有される責任を促進するために、我々は以下のことについて決意する。
2.1 世界中の仏教コミュニティには重要な役割があり、相互のよりどころである。 2.2 (略) 2.3 人種、信条、宗教、性別による差別を容認せず、仏教コミュニティを超えた人々を支援するために、慈悲心のある行動を広げる。 2.4 (略) 2.5 仏教の究極的課題である苦を終わらせるため国際機関と協力する。 2.6 仏教の5つの倫理的教え、(五戒)に基づき、持続可能な目標達成のため地域の参加を促し、よりよい世界に向けて共有される責任を果たす。
第3条 持続可能な社会に対する仏教的アプローチ
持続可能な社会を創造するために、我々は以下のことを決意する。
3.1 持続可能な社会への基礎的アプローチとして、四諦八正道を実践する。 3.2 (略) 3.3 環境保全、経済繁栄、社会正義を仏教の3本柱として活性化する。
第4条 持続可能な平和に対するマインドフル・リーダーシップ
マインドフル・リーダーシップに照らして平和を築くために、我々は次のことを決意する。
4.1 強い者が常に弱者に勝つという古いパラダイムに対して、平和構築のための対話と非暴力的なアプローチを強調する。 4.2 紛争回避と解決の基礎として知恵と慈悲の概念を宣揚する。 4.3 (略)
第5条 調和のとれた家族や健康と持続可能な社会に対する仏教的アプローチ
持続可能な社会を創造するために、我々は以下のことを決意する。
5.1 家族構造と社会システムにおける現代的な変化を認識し、家族やよりよい医療サービスの為に仏教の原則である調和のあるコミュニケーションを促進する。 5.2 仏教瞑想術を応用し、健康的な生活の効果を評価し、仏教の健康的な生活プログラムを促進する。 5.3 5つの倫理的教え(五戒)を学校のカリキュラムの一部として取り入れ、健康的な生活と調和のとれた家族を提唱する。 5.4 (略)
第6条 倫理におけるグローバル教育への仏教的アプローチ
グローバルな教育システムを改善するために、我々は以下のことを決意する。
6.1 倫理における仏教教育の究極的目標は、人を自我と苦しみから解放することであることを再確認する。 6.2 貪欲、怒り、無智(の三毒)に対して、無常や無我といった仏教概念が教育に有効であると伝える。 6.3、6.4 (略) 6.5 地球環境のケアには智慧と慈悲が求められ、個人、学校、地域社会で実践されれば相乗効果をもたらす。
第7条 仏教と第4次産業革命
7.1 ダルマに対し、第4次産業革命を利用してロボット工学、人口知能、センサー、ビジョンを用いた人間の癒しに関する仏教科学の近代化を促す。 7.2~7.4 (略)
第8条 責任ある消費と持続可能な開発に対する仏教のアプローチ
成長を可能にする仏教のアプローチの基本的な重要性を改めて認識し、我々は次のように決意する。
8.1 ブッダが人生の大半を自然と調和して過ごしたように、欲を基礎とした生き方より、必要性に応じた生き方が環境の改善につながる。 8.2 (略) 8.3 天然資源を汚染または枯渇させる大量のエネルギーをクリーンで安全なエネルギーに転換する。 8.4 動物性たんぱく質に頼ることなく、代替えができ持続可能な食糧源の開発においてビジネスリーダーと協力する。
第9条 政策:その意義と結論
数多いステークホルダーとの間で、政策の根本的なシフトの必要性を認識し、我々は以下の課題に取り組む。
9.1 これらの十分に考慮された調査結果を、国連の持続可能な開発目標の新しいプログラムに組み込むことが求められる。 9.2 (略) 9.3 仏教倫理は、より慈悲心のある社会の発展に貢献する文化的価値を有する。 9.4 仏教コミュニティーはSDGs達成のための貴重なパートナーシップになることができる。 9.5~9.7 (略) 9.8 災害救援、社会福祉、国連開発目標達成に積極的かつ実質的に参画する仏教NGOの広がりを期待する。 ウェーサクの日へのメッセージ
2019年5月16日 タイ国国連会議場(代読)
重要性持つ非暴力と利他
~ アントニオ・グテーレス 第9代国連事務総長 世界中の何百万もの人たちがこの聖なるウェーサクを祝福されることに最大限の祝意を表します。
持続可能な開発と重なる教え
~ オードレ・アズレ ユネスコ事務局長 ユネスコを代表してブッダの生誕・成道・涅槃を祝う第16回国連ウェーサク祝典に祝福メッセージを送ることをうれしく思っています。 国連ウェーサクの日へのスピーチ
自然を愛し自然と共に生きる
~ 叡南覚範 世界連邦日本仏教徒協議会会長 天台宗毘沙門堂門跡門主 第16回を迎えます国連ウェーサクの日祝典及び国際仏教徒会議にお招きいただき感謝申し上げます。1999年12月15日に国連においてウェーサクの日を世界の重要な日として認識し世界中の国連の施設でお祝いすることを奨励する決議が行われました。ここに改めて決議実現に尽力されたすべての関係者に深甚な経緯と感謝を捧げるものであります。 さて世界に目を向けますと、アジアにおいては北朝鮮の核問題に解決の目途が立たず、スリランカにおけるテロの発生はIS(イスラム国)の暴力が身近な問題となったことを裏付けました。米中経済摩擦は世界にどのような影響を及ぼすのか危惧されています。ヨーロッパでは難民問題をきっかけにEU諸国の政治状況がざわついており、加えて中国の一対一路の経済政策が不安の一因と言われるようになったり複雑さを増しております。 世界は今もって人為の争いが続き、自然を無視した行為により環境の変化や、如何ともしがたい自然の猛威に直面しつつも、たゆまざる努力をもって生存維持発展の道を進んでおります。自然を愛し、自然と共に生きると認識しつつ謙虚に受け止めることを教え訓された釈尊の精神の輝きがこれから先の世界の教えの場をますます光あらしめるためにも、大仏教国であるタイ国におけるウェーサクの日祝賀式典並びに国際仏教徒会議が国王さまのご加護の下に推進されますことを心から祈念申し上げお祝いの言葉とさせて頂きます。 |