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2018年度
第15回 国際ウェーサクの日祝賀式典 及び国際仏教徒会議 ご報告
開催期間
2018年5月25日~27日
会場
主催
テーマ
「人間開発のための仏教の貢献」
参加数
2018年度 レポート
仏陀の生誕・成道・涅槃を祝する第15回「国連ウェーサクの日」祝賀式典が5月25日から27日までの3日間、「人間開発のための仏教の貢献」のテーマのもと、タイの首都バンコクを中心に開催された。GNH(国民総幸福)で知られるブータン王国首相が基調講演を行い、経済成長によらないあり方を示した。上座部・大乗・金剛乗の枠を超えて約85カ国・地域から2千人超が参加した。日本からは世界連邦日本仏教徒協議会(世連仏)やITRI日本センター、高野山大学関係者、霊雲院国際禅交流友好協会関係者ら30人余が出席した。 初日午前、バンコク郊外のマハチュラロンコン仏教大学(MCU)アユタヤキャンパス大講堂を会場に、タイサンガの最高位であるソムデット・プラ アリヤヴァンサガタヤナ大僧正を迎えて開会式が行われた。 主催者である「国連ウェーサクの日国際評議会」(ICDV)議長のプラ・ブラマプンティットMCU学長は、1999年12月、仏陀の生誕・成道・涅槃を祝するウェーサクの開催を奨励するとの国連決議を紐解きながら、タイ政府・タイサンガの協力を得て2004年から主にUNSCAP(国連アジア太平洋経済社会委員会)の本部であるバンコクの国連センター(会議場)で開催してきた歴史を報告。「15回目のウェーサク祝典を皆さまと祝福できてうれしい」と歓迎した。 午後からはタイ王室の代表が臨席しての式典が挙行され、続いて各国代表のスピーチ等に移行し、翌2日目は終日、アユタヤキャンパスで4分科会が開かれた。 最終日は国連センターで祝典行事。アントニオ・グテーレス国連事務総長、プラユット・タイ国首相、オードレ=アズレ・ユネスコ事務局長のメッセージ(各代読)が紹介された後、各国・団体代表が登壇スピーチ。世連仏は、叡南覚範会長(天台宗毘沙門堂門跡門主)のメッセージを水谷栄寛事務総長(高野山真言宗真照寺住職)が読み上げた。ユネスコ憲章前文にある「戦争は人の心の中で生まれるものであるから人の心の中に平和の砦を作らなければならない」を引用し、「仏教は一人ひとりが信じる神を決して否定したりしない。逆に尊重することで人々は融和の関係を持つことができる。本当の平和とは、一人ひとりの自己が認められ、一人ひとりが信じる対象を否定しないことで築かれる」と主張した。 高野山大学の乾龍仁学長は、最初に添田隆昭宗務総長のメッセージを紹介。仏教が各地に伝播する中で土地の宗教に影響されつつも「慈悲と平和と寛容の精神」という仏陀の教えは変化していないと説いた。続いて学長として大乗仏教の立場から、「すべての生きものを尊重することは社会貢献につながる」と述べた。 終了後、MCUのプラ・ブラマプンティット学長は本紙の取材に、「今回のウェーサクには経済の学者もいた。ある学者は、哲学をもっていなければならないという。グローバル経済と仏教はどう関わるのか。精神的なものがなければ発展しない。精神的に良くなれば人間は成長できる。そこに仏教の役割があると思う」と話した。 ウェーサクの日へのメッセージ
異なる社会や弱者への架け橋に
~ アントニオ・グテーレス 第9代国連事務総長 ウェーサクの日は仏教徒にとって大切な日であります。この日は、お釈迦様の生誕・成道・涅槃(入滅)を思い出す日となります。お釈迦様は王子として生まれましたが、慈悲の心を持って世界の人々に貢献しました。この世界には様々なチャレンジがあります。今日、偏見や不公平などが起こっていますが、仏教では我々が世界の市民として、その一員となることを教えてくれています。このような教えは国連の2030年アジェンダ、持続可能な開発目標(SDGs)にそっております。 仏教は、世界の支配者ではなくて、私たちこそが世界の一員であることを教えてくれます。平和や気候変動、人権においても、仏教の教えは有効です。ですから仏教の教えは、国連の方針に沿っているのです。 また仏教コミュニティでは、仏教の教えを大事にして社会を尊重し合い、慈悲や思いやりを持って行動しなければなりません。そして偏見や憎しみに対抗していかなければなりません。この国連ウェーサク祝典を機に、我々はよりよい未来を構築する者として、異なる社会や弱者への架け橋となりましょう。(要旨)
暗い道に光を照らす
~ プラユット・チャンオチャ・タイ国首相 お釈迦様の教えは世界の人々に潤いを与えています。1999年12月、ウェーサクの日を国際的に重要な日として国連で決議されました。以降各国がこのウェーサクを祝してきました。 タイで国連ウェーサクが開催されたのは2004年からです。今年で15回目となります。今回のテーマは「人間開発としての仏教の貢献」。お釈迦様の教えは人間を開発し安定化させるだけでなく、文化、経済、社会、環境にまで活かせます。そのために人間は共同して平和な生活ができるのです。 タイ政府を代表して、世界の仏教徒の皆さまに感謝申し上げます。暗い道に光を照らして、平和を築くことを期待しています。(要旨)
調和と共感の関係構築を
~ オードレ・アズレ ユネスコ事務局長 15回目のウェーサク祝典は、「人間開発のための、仏教の貢献」について検討する会議です。寺院は困窮した人たちに使われたり、教育の場としても用いられてきました。ほかにも貧困や環境など様々な問題を解決する場としてお寺があります。 ユネスコは教育、科学、文化の協力と交流を通じて、国際平和と人類の福祉の促進を目的とした専門機関です。そして持続可能な目標(SDGs)が達成できることを願っています。現在は、他者への思いやりを大切にし、今まで以上に絆が求められています。 仏教は何百年にもわたり対話と理解を得て各地に広がり、その地は世界遺産になっています。アフガニスタンのバーミヤン渓谷、日本の法隆寺、インドのサーンチー遺跡、ネパールのルンビニ、そしてタイのスコータイ遺跡などです。 本年のウェーサク祝典が男性と女性が、調和と共感のある新たな関係を築いていく機会になればと願っています。 (要旨) スピーチ及びメッセージ
欲望にとらわれない
~ 叡南覚範・世界連邦日本仏教徒協議会会長 (水谷栄寛・世界連邦日本仏教徒協議会事務総長 代読) 仏陀の教えは仏陀がお話になった言葉であり、六道輪廻から抜け出す教えであります。この教えにより仏陀と同じ境地に入ることができるわけです。この状態を成仏というわけです。人は生まれながらに心を持ち、この心により仏となれるのです。仏教は誰にでも平等であり、貧富の差は決してありません。 国連のユネスコ憲章の前文に「戦争は人の心の中で生まれるものであるから人の心の中に平和の砦を作らなければならない。」とあります。仏教は一人ひとりが信じる神を決して否定したりはしません。逆に尊重することで人々は友和の関係をもつことができるのです。本当の世界平和とは一人ひとりの自己が認められ、一人ひとりが信じる対象を決して否定しないことで平和の世界が築かれるのです。 日本の仏教の言葉の中に「足るを知る」という教えがあります。欲望にとらわれない考え方を持つことで人々の心に安心がもたらされ、ひいては世界平和に繋がるのである。 本日お集りの各国代表との出逢いに感謝し、毎年ウェーサク開催にご尽力いただいておりますマハチュラロンコン仏教大学の学長様スタッフの皆さまにもお礼を申し上げます。仏陀の教えを進行する人々の友和と幸福を心よりお祈りし、私の挨拶と致します。
菩薩の用心で
~ 高野山真言宗総長 メッセージ (代読)高野山真言宗宗務総長 添田隆昭 日本国真言宗の開祖である空海弘法大師はその著書の中で「菩薩の用心は皆慈悲を以って本とし、利他を以って先とす。」と述べております。 私どもはジャータカを通して仏陀が悟りを開くまでの慈悲心に溢れたご修行を学び、それを菩薩行と崇め、他者のために自らの命をも犠牲とする行為を理想としてきました。また真言宗の根本経典であります『金剛頂経』に、仏陀はサルヴァールタシッディ(一切義成就)という菩薩として登場し、正覚を得てマハーヴァイローチャナ・仏陀(大毘慮遮那仏、大日如来)となられたとあります。 仏教は仏陀の涅槃の後、ヒンズー教の影響を受け、インドを出てアジア各地に伝搬した後は、土俗の宗教を包摂しつつ変容してきましたが、仏陀に対する崇信の念は変わりません。 今日、各地から仏陀の教える「慈悲と平和と寛容の精神」を共にする皆様が集まり、この精神を世界に広める活動に参加されたことに満腔の敬意を表します。(代読)
平等思想の発展を
~ 高野山大学学長 スピーチ 高野山大学学長 乾 龍仁 仏教には人間のみならず、すべての生物の生命を尊重し愛護するという「不殺生の思想」があります。もっとも、現実には他の生命を奪うことなしには、人間の生活が成り立たない面もあります。 それにしても、「残酷なことや無益な殺生をやめて、できるだけ生物が共存共栄できるような平和な自然界や人間界を作るようにする」ことが、人間には求められています。 また仏教には、人種・民族・階級・職業・言語・宗教などの相違によって、人間を区別しないという「平等思想」があります。 仏陀は、家柄や容貌などは人間としての価値に関係のないもので、いかなる人間でも人格を完成し、悟りを開くことができると教えています。 このような仏教のもつ「生命尊重の思想」や「人間平等の思想」は、人間社会が発展すればするほど大いに顧みられるべきものと考えます。 毎年タイで開催される「国連ウェーサクの日」は、この仏陀の教えを再確認し、世界に宣言すべき使命を帯びています。 私ははるばる日本の和歌山県にある高野山から参りましたが、本日、このような多くの皆さんと一緒に、偉大な仏陀の教えを共有できたことを感謝したいと思います。 ニュース
ブータン王国 トブゲー首相が基調講演
ブータン王国のトブゲー首相は今年のテーマである「人間開発のための仏教の貢献」について基調講演。金剛乗仏教(密教)を信奉するブータン王国が、仏教の価値観に基づいた指標として打ち出しているGNH(国民総幸福)について概説した。 第四代国王(在位1972~2006)は科学と仏教の双方を取り込んだ統治を行った。その指標がGNHであり、「持続可能で公平な社会経済開発」「環境保護」「文化の推進」「良き統治」の4つの柱と以下の九つの分野がある。①心理的な幸福②バランスよく時間を使う③地域の活力④文化の多様性と回復力⑤環境の多様性と回復力⑥健康⑦教育⑧良き統治⑨生活水準、である。 トブゲー首相は現国王もこれを踏襲していることや、それぞれの項目について仏教の教えを交えながら詳しく論じた。「仏教では、人間存在だけでなく、あらゆる生き物が安全で平穏な生活を希求している。そこに満足を見出すことができる」とした。 また故プミポン国王が提唱した「足るを知る経済哲学」を高く評価。「足るを知るとは節度のこと」だと述べ、節度なき欲望はきりがなく、自分自身に負けたことにもなるという。そのうえで「足るを知る経済」の目的は、社会の中のすべての人が調和と幸せを育むことにあると主張した。
マハチュラロンコン仏教大学と高野山大学が調印
上座部と大乗の研究交流へ タイのマハチュラロンコン仏教大学(MCU)と高野山大学(和歌山県高野町)は5月26日、バンコク郊外のMCUアユタヤキャンパスの本部棟で学術交流に関する覚え書きの調印式に臨んだ。 高野山大の乾龍仁学長は仏教を通じて日タイ学術交流が、「世界の平和と文化交流に大きく寄与するものと確信する」と期待した。 第15回国連ウェーサク祝典に参加した高野山大学の訪問団。乾学長、佐藤隆彦学長のほか職員と学生3人の6人が調印式に出席。MCU側はプラ・ブラマプンディット学長をはじめ副学長、学僧の教授陣たちが出席した。 乾学長は学術交流を歓迎したほか、宗祖空海が日本に密教を伝えた事績に言及し、「日本には大乗仏教が盛んに信仰されているが、密教もインドにおいて大乗仏教の中から生まれた。それに対し、タイ王国では上座部仏教が国教として発展してきた。しかし大乗仏教も仏陀の教えを基本としており、上座部仏教とルーツはおなじ」とした。そして「今後は両大学の教員あるいは学生の交流を通じて、互いの仏教を理解し合い、両大学がますます発展するよう、協力していきたいと願っている」と話した。 プラ・ブラマプンディット学長も「より良い方向に行くことを期待している」とし、「(MCUにとっても)マハヤーナ(大乗仏教)を学ぶ機会となる」と述べた。 それぞれの英文の覚え書きに署名。これにあわせて一斉にパーリ語のお経が唱えられた。記念品の交換では、高野山大学から両界曼荼羅が贈られた。 覚え書きは「学生と教員の交換」「国際的な仏教学術活動の促進と国際会議の開催」「仏教教育の向上」「上座部と大乗両仏教の研究促進」の4項目となる。 調印後、乾学長は「これからの時代、国際交流の必要性が出てくる。日本の環境だけでは、外の世界がわからない。今回、ウェーサクに参加し、世界の仏教を垣間見ることができた。大学としても世界に目を向けたメッセージを高野山から発したい」と表明した。 バンコク宣言2018(要旨)
1999年12月15日、国連総会で34ヶ国の賛同により5月の満月に国連本部及び各地の国連機関でウェーサクを祝うことを決議した。2000年からすべての仏教徒のサポートにより国連ウェーサクの日が祝われてきた。今年はタイ政府とタイ仏教サンガの支援により5月24日から27日にかけて85ヶ国・地域から仏教徒がマハチュラロンコン仏教大学に参集した。基調講演はブータン王国のトブゲー首相が行った。 期間中、「人間関係のための仏教の貢献」のテーマのもと、参加者の理解を協力により以下のことを合意した。
主な日程
5月25日 MCUアユタヤキャンパス
09:00開会式 5月26日 MCUアユタヤキャンパス
パネル討論 5月27日 国連会議センター
09:00国連ウェーサク式典 |