United Nations Day of VESAK, Celebration and International Buddist Conference
「国連ウェーサクの日」 祝賀式典および国際仏教徒会議
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2012年度
第9回 国連ウェーサクの日祝賀式典
及び国際仏教徒会議 報告
ブッダジャヤンティ:仏陀の成道2600年祝賀
開催期間 2012年5月31日~6月2日
会場
  • マハチュラロンコーンラージャウィタヤライ大学、アユタヤ
  • 国連アジア太平洋経済社会委員会会議場、バンコク
主催
  • 国連ウェーサクの日国際委員会
  • 国連ウェーサクの日日本委員会
メインテーマ
「人間の幸福にとっての仏陀の成道」
後援
  • タイ政府
参加数
  • 世界85カ国1,800名、タイ内からの参加を含めて総勢5,000名
2012年度 報告

タイでの国民のウェーサクの祝祭日は通常は5月の満月の日と決められているが、2012年のタイの満月は閏年の為6月4日となった。この祝典と会議はその日以前に行われるという慣習により5月31日から6月2日までの3日間、会場を変えながらタイに於いて開催されることになった。釈尊成道2600年記念という特別な年であることもあり、タイ政府は強い意欲を持ち、このプロジクトに積極的に参加した。政府の仏教局、観光局などが中心となって世界からの仏教徒を迎えるイベントを実施し、またタイの国民にこの式典を知らしめるべくテレビなどのメディアを使って大々的なキャンペーンを行った。そしてこの式典に合わせて5月29日から6月4日までの間、シリキット王妃の80歳の誕生日、並びにワチラロンコーン皇太子殿下の60歳の誕生日を祝う行事を全国的に開催してきた。

第9回国連ウェーサクの日祝賀式典及び国際仏教徒会議には世界85か国から1800名、タイ内からの参加を含めて総勢5000名の仏教徒が集まった。日本からは天台宗の大僧正で世界連邦日本仏教徒協議会会長の叡南覚範師を団長として350名の仏教徒が日本からの使節団として参加した。

31日マハチュラロンコーン大学アユタヤ校の大ホールにて式典が始まった。ワット・パクナム寺院の住職でありタイ僧団法王代理執行委員会の議長であるプラ・マラチャマンガラジャン大僧正が会場に到着。大僧正の先導の下に、会場に集まった一同は三宝を称えた。大僧正が、ブッダの教えの核心部分に焦点を当てて、「社会の問題を解決し人の心に平和をもたすために、ブッダが説かれた五戒を日々の生活の中で実践すべきである。お釈迦様の教えた84000の法は、内容をまとめれば『悪を除き、善を尽くし、心を純潔にする』になります。そのように実現できたら、苦を滅却することができます。」と話された。

マハチュラロンコーン大学のプラ・ダマコサジャン学長が歓迎の挨拶を述べ、今回の素晴らしい行事 は、ブッダが悟りを開かれてからの2600年を祝い、また同時に、シリキット王妃の80歳の誕生日とワチラロンコーン皇太子の60歳の誕生日を祝賀するものであると話した。学長は、次のように述べた。

「今年が特別の年だということを私たちはよく分かっております。と申しますのも、ブッダが菩提樹のもとでマーラ、すなわち悪魔に勝利を収めてから、ブッダが心を純化したことをお祝いするブッダの誕生、ブッダジャヤンティからちょうど26世紀経つ、ということが国際的に知られているからです。すなわち、ブッダは悟りを開いたがゆえにブッダとなったのです。ですから、この祝賀の核心は、ブッダになれるようにと我々自身に刺激を与え励ましていこうとすることにあります。私たちは、ブッダになるようにと、私たち自身を、そして私たちの友を鼓舞していきます。

ブッダには三種類あります。正等覚者、縁覚、随覚です。上座部仏教の国では、自ら悟りを開き、他の人々が悟りを開けるようにと教える人である正等覚者を目指しはしません。縁覚は、他の人々に教えることはできません。そして随覚は正等覚者に従って悟りを開く人です。これら全てのブッダたちは、叡智と慈悲という同じ心の特性を持っていると申し上げます。ですから私たちは、自らを鼓舞して慈悲を持って人々のために働かねばなりません。

皆様に、ブッダの中に実行する精神を見、そしてブッダの教えを実際に実行していただきたいと思います。私たちは今ここに集まり、ブッダを礼拝し、ブッダの教えを実行することによってブッダに敬意を表します。仏法を実践し、仏法を広め、教えていきます。私たち主催者は、ブッダへの崇拝を行う場を、仏法を実践し、教え、そしてお互いの考えを交換する場を皆様方に提供します。」

そして全参加者は、「仏教の智慧と調和」か、「仏教の智慧と人間の変化」というテーマのセミナーのどちらかに参加することを求められた。学長はまた、ブッダの教えを伝え、訓練し、広めることを目的とした世界仏教センターがナコンパトム県ブッダモントンに設立される予定であることを、このめでたい機会に発表した。そして演説の最後に、海外からの1800人の参加者と3000人を超えるタイ人参加者に、パティバッティブーチャと呼ばれる実践を行って、ブッダを心から崇拝するようにと呼びかけた。

王室からはチャラポーン王女がセレモニーを行い、次のように話された。

「本日はブッダの誕生と悟りと入滅を記念する日であり、私はこの特別な行事に参加することを仏教徒として非常にうれしく思っております。ウェーサクの日は、タイ人にとってのみならず世界中の仏教徒にとって重要な日であり、それゆえに、国連は1999年にこの日を国連ウェーサクの日とすることを世界中に告げました。2012年、仏暦2555年のウェーサクの日は、この年がブッダの悟りから26世紀目、すなわち2600年目であることから、広範に特別に祝われています。加えて、この式典はシリキット王妃殿下の80歳の誕生日とワチラロンコーン皇太子殿下の60歳の誕生日という慶事をも記念して行われております。」

スピーチの最後に王女は、様々な国々から来た代表団全員に歓迎の意を述べると共に、通常の活動を通してだけでなくさらに実践を通して崇拝することによって、ブッダの教えに従うよう全参加者に呼びかけた。

タイ国のインラック・シナワトラ首相は6月2日の国連会議場においてスピーチを行った。

「タイ国は、2004 年以来、ウェーサクの日の祝賀と国際仏教徒会議を誇りを持って主催しております。この会の成果を受けて、ブッダの教えが世界に平和をもたらすことを助けていくことに活用されていくであろう、と信じております。ブッダの教えの中には、非暴力、および多様性の尊重という原則が含まれています。これはタイ国にとっても、今、非常に重要なことです。実際、これらは、仏教を信じている、信じていないに関わらず、多くの国際社会が共有している原則です」と語った。

タイの政局はいまだに混迷をつづけ、政府と反対派との争いが終息することなく繰り返されている。6月2日タイ首相が臨席中も首相官邸付近で反タクシン派の大きなデモが催されていた。

タイ首相の後、スリランカ大統領、マヒンダ・ラジャパクサ閣下がスピーチを行った。さる5月8日にマハチュラロンコーン仏教大学の一行はマヒンダ・ラジャパクサ大統領を訪問し、259年以上にわたって良い関係を保っているタイ国とスリランカの仏教について意見を交換した。その席で、スリランカの大統領は、国連ウェーサクの日祝賀式典に参加すると正式に表明し今回の参加となった経緯がある。マヒンダ・ラジャパクサ大統領は次のように語った。

「ある個人や、ある集団や、ある共同体の優越性は、何か特別な、神に与えられる権利でも、また、その生まれによって得られるものでもありません。個人にしても集団にしても、より高い評価をするだけの価値があるのか、それともより低い評価の価値しかないかを決めるのは、その人たちやその集団の行動、振る舞い方によって決まるのです。

このようなことを判断する智慧は、今日という時代の文脈の中では、途方もなく高い価値を持っています。世界には、他の国や集団に対して、超大国、宗教大国、経済大国などといった自分たちに与えられた肩書を利用して説教をしようとする国や集団があります。そうした国や集団が、優れているのかどうかを決めるのは、それらの振る舞いによるものなのです。

尊師の皆様、閣下の皆様、会場の皆様、私たちは今、ウェーサクの日を祝っておりますが、私はメタ、すなわち慈愛の心を、慈愛の普遍的な力を呼び覚ましたいと願っております。世界中で数多くの紛争や苦痛を生み出している怒りと憎悪という悪徳は、慈愛の力によって抑え込むことができます。世界のあらゆる片隅から平和のメッセージを発信しましょう。仏教の光を輝かせ、無知の暗闇を消滅させましょう。」

タイ首相とスリランカ大統領は世界からの多くの仏教徒と挨拶を交わして会場を後にした。

6月2日の午後からは天台宗半田孝淳座主猊下のメッセージが臨済寺の秦順照師によって読まれた。

「人間ばかりではなく、あらゆる動植物と共に、我々は地球という同じ船に乗って、大宇宙を航海していると申せましょう。全ての生き物は地球を離れては生きることができません。私たちの命を守っている地球を、人間の欲望やエゴで破壊するような愚かしい行為は直ちにやめるべきであります。そのためには釈尊の示された『中道』や『小欲知足』『共生』といった真理の教えを実践する必要があります。」半田孝淳座主猊下からは毎年国連ウェーサクの日には欠かさずメッセージが寄せられている。

日本使節団の団長である叡南覚範大僧正の演説が行われた。

「昨年は全世界で大きな自然災害が発生しました。昨年2月のニュージーランドのクライストチャーチ地震に始まって、その直ぐ後の3月に東日本大地震津波が発生し、10月にタイでは未曾有の大洪水が起きています。多くの人々が財産を失い、肉親を失い、仕事を失い、そして希望を失いました。生きる気力を失った人も多かったことでしょう。非常に痛ましい出来事です。被災した人々は今でも苦しい思いをされていると思います。

人はこのような苦に直面したとき何を拠り所として生きて行ったらよいのでしょう。私たちは忘れてはいけません。このような苦しみは誰の身の上にも起き得ることなのです。他人事では決してないのです。この世、あるいは人生とはいつの時代も常ならないのです。同じくお釈迦様が説いておられるように永遠不滅、固定したもの安定したものなどは存在しないのです。平穏な世の中、幸せな人生が送れればそれに超したことはありませんし、そう願い努力することはもちろん大事です。しかし、そうならなかったからといって決して悲観するべきではありません。ここで先ほどの諸法無我の原則に立ち返ってどのように現実を受け止め、どのように心を整え、どのように生きて行くかを考えるべきです。

お釈迦様の成道2600年に際して、今一度、ダンマパダにあるお釈迦様の教えを思い起こし、私たちは諸行無常が当然である世の中を如何に生きて行くべきかを考えてみてはどうでしょう。」と語った。

この3日間の締めくくりとして国連ウェーサクの日国際評議会議長としてプラ・ダマコサジャン学長は「私は個人的に、世界の状況、特に仏教界の状況は多くの点で、人材という点や教育の発展という点だけではなく、協働という点でも改善していくことができると信じております。私たちはおそらく、私たち自身の住んでいる所においては、私たち自身の国においては私たち自身の仕方で最前を尽くすことができます。 しかし、もし私たちが持っている限りある資源を使って最大の成果をあげることができるように、一緒になって活動し、エネルギーを節約し、当局の影響を減らし、責任を共有するならば、私たちは今以上により良いことができることでしょう。一緒に進んで参りましょう。一緒に活動して参りましょう。そうすれば、私たちは、より少ない時間でより多くのことを成し遂げることができます。より少ないお金でより大きなことを達成することができるのです。私個人は、このことを深く確信しております」と語り、第9回バンコク宣言を発表した。

閉会にあたって、第9回を迎えたこの式典を初回から支えてきたタイ仏教僧団法王代理執行委員会委員長プラ・プッタチャーン大僧正がスピーチを行った。この2年間病気の為、ソムデット・プラマー・ラッチャマンカラジャン大僧正に代理を依頼していたが、本人の強い希望で登壇して次のようにスピーチをした。

「この場に集まった皆様の心には、すでに法があると確信しています。さもなければ、この場にはいないことでしょう。我々の仏教は、世界中の一般の人々のための宗教であり、どこか一つの国のためだけのものではありません。我々は、どこにいても、決して贅沢はせず、ただ生きていける程度の食事と生活をしていきます。そうしながら、周りの人々にブッダの教えを広め、理解できるように教育していきます。我々、上座部仏教も、大乗仏教も、今までずっとそういうやり方でやってきました。我々は、お互い協力しながら、頑張らなければなりません。上座部仏教も、大乗仏教もです。自分の出来る範囲のことで頑張らなければなりません。それは、この世の中の人々に、法を見、そして法に出会ってもらうためです。

お互いを殺害するための戦闘機、鉄砲、武器ばかりを見ていても仕様がありません。戦争で平和になった国がどこにあるでしょうか?そんな国は一つもありません。小さな国々でも、戦や殺し合いが無ければ、苦もなく幸せにいられます。ですから、仏教の法を人生の柱にしてもらいたいのです。」病をおして会場に現れたプラ・プッタチャーン大僧正の言葉に参加者は真剣に音も立てず聞き入った。

プラ・プッタチャーン大僧正の閉会の言葉で3日間の式典と会議は幕を閉じた。

翌日、首相官邸での昼食会が催され、選ばれた世界からの仏教指導者が参加した。日本は叡南覚範大僧正が選ばれて昼食会に参加された。

2012年10月12日
国連ウェーサクの日国際委員会
International Council for the United Nations Day of Vesak (ICUNDV)
国連ウェーサクの日日本委員会
Japanese Committee for the United Nations Day of Vesak (JCUNDV)
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